なくなる町で、
終わらない映画を
撮ろうと思った。
十二年ぶりに帰ってきた、海辺の町。
亡き祖父の写真館に残されていたのは、
最後のページが破られた脚本と、一本の未完成映画。
町にひとつだけ残った映画館「オリオン座」は、
八月三十一日を最後に、その扉を閉じる。
町を出たい澪。町に残りたい凪。町を変えたい灯。
そして、まだ何も選べない僕。
僕たちは、その映画の続きを撮ることにした。
同じ風景に、違う未来を見ながら。
これは、町の記憶を編集する、
ひと夏の物語。